現物出資
会社の資本金を増やしたいと考えたときに、一番素直な方法は現金による増資手続きです。現金出資は会社のお金ではなく、手持ちのお金を会社に投入する方法です。
次に、資本金を増やす方法としては現物出資が考えられます。
現物出資には制限があり、500万円以上の現物出資の場合には、コストのかかる手続き(裁判所の選任する検査役の選任等)が原則として必要となります。
ですが、会社に対する貸付金銭債権を現物出資する方法であれば、会計帳簿価格を超えなければ、500万円を超えてもコストのかかる手続きは不要です。(会社法第207条第9項第5号)
また、現物出資財産の価額につき相当との税理士等の証明書があれば、500万円を超える場合でも、コストのかかる手続きは不要です。(会社法第207条第9項第4号)
会社に対する貸付金銭債権を現物出資することで、自己資本比率、負債比率、流動比率の経営指標が向上しますので、財務体質が改善し金融機関の融資審査などで有利になる可能性があります。
また、会社に対する貸付金銭債権は、貸付をしている当該役員が死亡して相続が発生したときに個人の相続財産となります。役員個人の相続税対策としても検討する際に、現物出資がひとつの選択肢となります。
税務面での検討は必要ですが、方法選択の自由があるので便利です。
実務的な現物出資の方法としては、代表取締役等の役員の会社に対する貸付金銭債権を現物出資する方法が採られることが多いですね。